ルートの計算で分数の分母を有理化しないといけない理由とは?

中学校の数学で、分母にルートがついた数があることを嫌います。

と、言うよりもやっちゃダメという感じですよね。

高校生になると一部分母にあってもいい感じにはなりますが、中学校では禁忌とされています。

中学校の数学ではなぜ分母を有理化しないといけないのでしょうか。

今回の記事では、中学の数学で分母を有理化しないといけない理由について書いてみたいと思います。

分母を有理化しないといけないのはなぜ?

中学3年生になると平方根を習うため今まで有理数だらけだった数学の世界に無理数が登場します。1)円周率\(\pi\)に続く2つ目の無理数です。
\(\sqrt{2}\)や\(\sqrt{5}\)みたいなものです。
数字なんだか文字なんだか、なんとなくしっくりこない数でもあるのではないでしょうか。
中学生だと、分母に無理数があること、\(\sqrt{2}\)のようなものがあるのはダメ!ということになっています。
これはなぜなんでしょうか。
別に無理数が分母にあってもいい気がしますよね。

分母に無理数はダメなの?

ネットで検索してみると、どうも大学数学の範囲の体(英語ではfield)がもとになっているそうですが、問題はそれだけなのでしょうか?
大学でそんなこと習ってこともないので分かりませんが、そこが根拠であれば中学生には特に関係がないようにも思えます。
そんなに先の数学のために、義務教育の段階で、分母の無理数はダメ!必ず有理化してね!ということになるのでしょうか。
きっと中学生にもメリットがあるはずなので、そのメリットについて考えてみたいと思います。

ちょっと例題を使って考えてみましょう。

例題
計算しましょう。$$\sqrt{2}+\frac{2}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}$$

後ろの分数の分母を有理化して計算すればなんてことはないですね。
まずは有理化してから計算してみましょう。
\(\sqrt{2}+\frac{2}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}\)
\(=\sqrt{2}+\frac{2(\sqrt{5}-\sqrt{2})}{(\sqrt{5}+\sqrt{2})(\sqrt{5}-\sqrt{2})}\)
\(=\sqrt{2}+\frac{2(\sqrt{5}-\sqrt{2})}{3}\)
\(=\frac{3\sqrt{2}}{3}+\frac{2(\sqrt{5}-\sqrt{2})}{3}\)
\(=\frac{3\sqrt{2}+2\sqrt{5}-2\sqrt{2}}{3}\)
\(=\frac{2\sqrt{5}+\sqrt{2}}{3}\)
となりました。
そんなにややこしい計算ではないですね。
ちょっと通分することがめんどくさいくらいでしょうか。
分数の有理化の仕方って?

分母を有理化せずに計算してみると

今度は分母も分子もを有理化せずに計算してみましょう。
有理化せずに計算するので、通分するところからスタートです。$$\frac{\sqrt{2}(\sqrt{5}+\sqrt{2})+2}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}$$なんだかややこしくなってきました。
さらに計算してみましょう。$$\frac{\sqrt{10}+4}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}$$有理化しないとなるとここが限界ですね。
なんだか数がごちゃごちゃとした感じですね。
一体いくらなのかとても分かりにくいです。
一応ここから分母を有理化してあげると、\(\frac{2\sqrt{5}+\sqrt{2}}{3}\)となります。

分子を有理化してみると

分母を有理化した場合と、特に何もしなかった場合の計算をしてみました。
あともう1つありますよね。
分子の有理化です。
分子を有理化して計算してみましょう。$$\frac{2}{\sqrt{2}}+\frac{2}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}$$これで分子に無理数はなくなりました。
それでは計算してみましょう。
まずは通分してみます。$$\frac{2(\sqrt{5}+\sqrt{2})+\sqrt{2}\times 2}{\sqrt{2}(\sqrt{5}+\sqrt{2})}=\frac{2\sqrt{5}+4\sqrt{2}}{\sqrt{2}(\sqrt{5}+\sqrt{2})}$$せっかく分子を有理数にしたのにまた分子に無理数ができてしまいました。
さらにここから分子を有理化してみましょう。$$\frac{2\sqrt{5}+4\sqrt{2}}{\sqrt{2}(\sqrt{5}+\sqrt{2})}=\frac{2(\sqrt{5}+2\sqrt{2})(\sqrt{5}-2\sqrt{2})}{\sqrt{2}(\sqrt{5}+\sqrt{2})(\sqrt{5}-2\sqrt{2})}$$

分子を計算して、$$\frac{6}{2\sqrt{5}-\sqrt{2}}$$となります。
分子を有理化すると途中で通分などをしたときに分子に無理数が出てくることがあります。
分子を有理化するのはあまり現実的ではないように思います。

計算の仕方を振り返ってみると・・・

計算の仕方を振り返ってみると、「分母を有理化する」「分子を有理化する」「有理化しない」という方法がありました。
面白いのはみんな同じ数を意味しているのに、見た目では等しいと言うことが分かりにくいという問題が生じることです。2)分子を有理化したときは\(\frac{6}{2\sqrt{5}-\sqrt{2}}\)、分母を有理化したときは\(\frac{2\sqrt{5}+\sqrt{2}}{3}\)、有理化せずに計算すると\(\frac{\sqrt{10}+4}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}\)となり、見た目では同じ数ということが分かりません。
「有理化しない」と、どうしても分子と分母に有理数が出てきてしまい、数値がどれくらいなのかということを考えるのが難しくなってしまいます。

また「分子を有理化する」と、計算途中に有理化した分子が無理数を含むようになることがあります。
分子に無理数が出てくる度に分子を有理化するのも面倒です。

こう見ていくと結局の所、中学校で分母を有理化して答えるというやり方が最も現実的で分かりやすい気がします。

分母を有理化するメリットは計算過程にもあらわれます。
分母を有理化せずに計算すると、分母にも分子にも無理数が登場するため計算が煩雑になりやすくなります。
通分した後の計算も大変です。

しかし、分母を有理化しておくと、分母は整数になります。
分母が整数であれば、通分もしやすくなり、計算しやすくなります。
また、無理数のまま通分する過程を考えると結局のところ、分母の有理化と同じ過程を歩むことになってしまいます。

分母を有理化するというのは、計算しやすくもなり、数字も見やすくなるので、もし分母の無理数がダメ!となっていなくても分母の有理化をするほうが格段に計算しやすくなりそうですね。

まとめ

今回の記事では、中学の数学で分母を有理化しないといけない理由について考えてみました。
分母の有理化をしないといけないのは、分母を有理化することで、数字が見やすくなる上に、計算も楽になるからだと理解しておくのがいいのではないでしょうか。
逆に有理化せずにといてくださいと言われた方が計算しずらくなってしまいます。

さらには、例題の問題であれば、分母を有理化せずに計算しようとすると、与式のままのほうがいいのか、それとも計算をしたほうがいいのかさえ分からなくなってしまいます。
分母の有理化って、中学生から見ると難しそうに見えがちですが、分母を有理化しないとダメ!というのは中学生に対する優しさなのかもしれませんね。

References   [ + ]

1. 円周率\(\pi\)に続く2つ目の無理数です。
2. 分子を有理化したときは\(\frac{6}{2\sqrt{5}-\sqrt{2}}\)、分母を有理化したときは\(\frac{2\sqrt{5}+\sqrt{2}}{3}\)、有理化せずに計算すると\(\frac{\sqrt{10}+4}{\sqrt{5}+\sqrt{2}}\)となり、見た目では同じ数ということが分かりません。

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